2024年版 国会議員SNS利用実態調査
2024年12月4日〜8日の間に、現職国会議員:衆議院465名(欠員0)、参議院240名(欠員8)、合計705名を対象に調査を行いました。
※2020年より、データは毎年11月上旬〜12月上旬に取得しています。
アカウント所有率
Instagramの所有率の伸びが最も大きく、今回8割を超えました。また、Threadsについても初めて調査しましたが、Instagramユーザーの28%がアカウントを開設していました。
X
河野太郎氏は、2020年から2021年の間に故安倍晋三氏を追い越して以来、フォロワー数1位の座を維持しています。2024年調査で、新たにフォロワー数トップ10に加わったのは玉木雄一郎氏と石破茂氏です。また、2023年の調査時点からもっともフォロワー数を伸ばしたのは玉木氏でした。
アカウント開設日からの投稿数が最も多かったのは有田芳生氏で、1日あたりの投稿数(総投稿数をアカウント開設日からの日数で割ったもの)が最多だったのは吉川里奈氏でした。
属性別(政党別はばらつきが大きいため、別途記載)に見ると、フォロワー数には約2倍の男女差がみられます。また、当選7回以上の議員のスコアが非常に高くなっています。
調査時点で、1日以内にXに投稿していた議員は28%おり、半数以上が3日以内に更新しているという結果でした。
YouTube
青山繁晴氏は、2020年において1位だった河野太郎氏を追い抜いて以来、首位を維持しています。また、玉木氏が高市氏を再び抜き返し2位になり、岸田氏が昨年の22位から大きく躍進し9位に食い込みました。この約1年間でもっともチャンネル登録者数を伸ばしたのは玉木氏でした。
投稿数がもっとも多かったのは原口一博氏でした。アカウント開設は2019年9月とそれほど古くありませんが、1日平均5本の動画をアップロードしている計算になります。
視聴数、および視聴数の(この1年の)増分についても青山氏が2位以下を大きく引き離し、トップとなっています。
チャンネル登録者数で大きな開きが見られたのは、男/女、選挙区/比例でした。また、若いほどスコアが高いという傾向が現れています。
最終投稿日が第50回衆院選期間中のアカウントが156件、第26回参院選期間中のアカウントが30件あり、投稿が習慣化している議員はまだまだ少数派で、選挙期間中やイベントの際にのみ投稿する議員が大半を占めている印象です。
Facebook
フォロワー数トップ10に関して、2023年の調査と比較すると、岸田氏と菅義偉氏の順位が入れ替わり、10位が山口那津男氏から小野田紀美氏に変わりました。小野田氏はこの1年でXのフォロワーは約85,000人増えましたが、Facebookの増分は6,000人であるように、X, YouTube, Facebook, Instagramの中ではFacebookがもっとも変動が少ないプラットフォームです。また、属性によるばらつきも比較的小さいです。
Instagram
2023年の調査から変わった点としては、アカウントを新規に作り直した今井絵理子氏がトップ10から外れ、石破茂氏が新たにランクインしました。この1年間で最もフォロワー数を増やしたのは小泉進次郎氏でした。
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今回初めて、Instagram Reelsに関するデータ(直近最大12投稿分)を収集しました。その結果、Reelsの再生数(の中央値)がもっとも多かったのは岸田氏でした。岸田氏は、YouTubeでも今年初めてトップ10にランクインしており、最近動画コンテンツに力を入れていることがわかります。
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https://www.instagram.com/fumio_kishida/reels/
年代別投稿数以外に2倍を超える差はなく、Facebookと同様、ばらつきが少ないプラットフォームです。
LINE, Threads, TikTok
LINEの友だち数トップ10に関しては、メンバーおよび順位ともに2023年の調査と変わりませんでした。参議院>衆議院、比例>選挙区という傾向は、(公明以外の)自民、立憲、維新、国民、共産にも共通してみられます。逆に、それ以外の男/女、年代、当選回数間には大きな差がありません。
Threadsのフォロワー数1位は河野氏でした。
https://www.threads.net/@konotarogomame
アカウント所有者169名のうち、132名がアカウントを公開し、何らかの投稿を行なっていました。
Instagram Reelsをやっている議員は493名(アカウント所有者の82%、全体の70%)であるのに対し、TikTokのアカウント所有者は162名(23%)であり、国会議員における縦型のショート動画のプラットフォームとしてのTikTokの活用はあまり進んでいません。また、2020年7月の東京都知事選以来更新されていない山本太郎氏のアカウントがフォロワー数(19,000人)、いいね数(198,400)ともにトップであることからも、現状、活況とは言い難い状況です。推測ですが、議員個人の運用よりも切り抜きの拡散などに向いたプラットフォームなのかもしれません。
政党別
衆議院/参議院、男/女、年代、当選回数、選挙区/比例などの属性別よりも大きな差が出るのが、政党別です。Xのフォロワー数の1位はれいわ新選組、2位は日本共産党で、それ以外に大きな差をつけています。投稿数のトップは共産でした。
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YouTubeのチャンネル登録者数、視聴数ともにれいわ新選組がトップでした。
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Facebookのフォロワー数については、日本共産党、公明党、れいわ新選組が高い数字をもっていました。
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Instagramのフォロワー数とReels再生数では公明党が、投稿数ではれいわ新選組がそれぞれ1位でした。
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LINEについては、トップ10中8名が公明党所属議員であったように、従来、公明党が非常に高い数字をもっています。
2020年-2024年の推移
まず、アカウント所有率について、過去4回の調査データと比較しました。XとYouTubeは10%以上増加しました。Facebookは2020年時点で92.7%と既に高く、微増となっています。Instagramはほぼ倍増しており、4SNSの1つとして確実に定着したといえるでしょう。
次に、X(旧Twitter)のフォロワー数と投稿数の中央値を、2020年からみてみると概ね増加傾向にあります。ただし、国会議員の約2/3の入れ替えがある衆院選のある年では、選挙時に初めてアカウントを作成する議員や新人議員が増加する影響のためか、(所有率は上がりますが)フォロワー数・投稿数の伸びが鈍化、または微減する傾向があります。
一方、YouTubeは上記の理由に関係なく、チャンネル登録者数、投稿数、視聴数ともに大幅な伸びを示しています。
Instagramについては、Xとほぼ同様の傾向が見られます。
X, YouTube, Instagramにおいて、この約1年間でフォロワー・チャンネル登録者をもっとも増やした上位5名について、2020年からの推移を示します。X(旧Twitter)については、5名の中では、2020年は石破氏がトップでしたが、岸田氏は21,636人から、高市氏は2,025人からこの4年間でフォロワーを大きく増やしています。YouTubeについては、玉木氏と高市氏は抜きつ抜かれつの争いを続けています。Instagramについては、2020年のトップは石破氏で、小泉氏はまだアカウントを作成していませんでした。
X, YouTube, Instagramの3つのプラットフォームで大きな伸びを見せる岸田氏、高市氏、玉木氏は、今後もネット上での影響力をさらに拡大していくと考えられます。一方で、新たな世代の議員が台頭し、彼らの地位を脅かすことで、世代交代が進む可能性もあります。今後、国会議員のSNS運用においては、YouTubeやInstagram Reelsなどの動画コンテンツの重要性が一層高まると予想されます。